日本製品の扱いはちょっと頭が痛いテーマ (3/3ページ)

2015.9.27 06:00

 日本のモノに限ったことではないが、あるモノが海外市場で売られるには自国市場と比較してプレミアム市場を狙うことが多い。市場開発にも物流にもコストがかかるから、それなりの価格レベルに設定しないと、もとがとれないとの理由もある。

 こういう文脈で、「日本のデザイン商品は高いね」とのコメントもある程度仕方がない。

 「日本では民主的な価格帯で市場を作っているMUJIもヨーロッパではややプレミアムよりだからね」とマッセさんは語る。だから家具ではなく、せめて手頃な価格帯におさまりやすい小物で品ぞろいをすることになる。

 結局において思うのだが、マッセさんのストレスの大きな原因は価格の高さを消費者に説明しきれないからだろう。

 手間のかけ方や素材の希少性にもよるが、「良いモノは国境を越えて自ずと伝わるはずで、しかも日本の職人はモノに魂を込める」という気持ちがどうしても日本の売り手の心から離れない。しかしながらヨーロッパ人はその心によく馴染めない。ここにコミュニケーションの空回りの遠因があるような気がする。

 ローカリゼーションマップとは? 異文化市場を短期間で理解するためのアプローチ。ビジネス企画を前進させるための異文化の分かり方だが、異文化の対象は海外市場に限らず国内市場も含まれる。

 安西洋之(あんざい ひろゆき) 上智大学文学部仏文科卒業。日本の自動車メーカーに勤務後、独立。ミラノ在住。ビジネスプランナーとしてデザインから文化論まで全方位で活動。現在、ローカリゼーションマップのビジネス化を図っている。著書に『世界の伸びる中小・ベンチャー企業は何を考えているのか?』『ヨーロッパの目 日本の目 文化のリアリティを読み解く』 共著に『「マルちゃん」はなぜメキシコの国民食になったのか? 世界で売れる商品の異文化対応力』。ローカリゼーションマップのサイト(β版)フェイスブックのページ ブログ「さまざまなデザイン」 Twitterは@anzaih

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