ビール類の酒税見直し議論が中ぶらりんになっている。消費税率10%時の負担軽減策をめぐる与党協議の難航で、踏み込んだ検討に至っていないからだ。政府は来年度税制改正の目玉として、ジャンルごとに税額が異なるビール類の酒税一本化を盛り込む方針だったが、ここにきて一転、雲行きが怪しくなってきた。酒税改正に商品戦略が左右されるビール業界も議論の行方にやきもきしている。
「与党に相談していないし、同意も得ていない」。財務省幹部は、酒税見直しに向けた与党との協議の遅れにより、ビール業界との具体的な調整ができていないとの認識を示す。
例年であれば、8月末の各省庁からの税制改正要望を受け、9、10月は、政府と与党間で、来年度の税制改正の主要テーマについて意見調整する時期。ビール類の酒税見直しについても2015年度税制改正大綱で「速やかに結論を得る」と明記されており、本来なら調整が本格化しているはずだが、議論は止まっている。背景にあるのが9月上旬に財務省が示した消費税増税の負担軽減策として増税分の一部を後で払い戻す「還付制度」案をめぐり自民党と公明党の意見が対立、この議論に政府も与党も忙殺されていることだ。