中国、韓国シフトで「北」軽視 極めて異例…序列1~3位が訪韓

2015.11.2 20:40

中国の李克強首相=ソウル(共同)

中国の李克強首相=ソウル(共同)【拡大】

 【ソウル=矢板明夫】中国の李克強首相は2日、ソウルで韓国の黄教安首相と会談した後、帰国の途についた。李首相の今回の訪韓は、昨年7月の習近平国家主席、今年6月の張徳江・全国人民代表大会常務委員長に続くもので、わずか一年余の間に中国共産党最高指導部の序列1~3位の要人が同じ国を訪問したのは極めて異例だ。一方で、伝統的な友好国の北朝鮮との首脳外交は途絶えたまま。習近平政権の朝鮮半島外交の重点が北朝鮮から韓国にシフトしたことは、今後の北東アジア情勢に影響を与える可能性もある。

 中国の外交関係者によると、李首相による今回の韓国訪問は、中韓の当局者による事前協議で公式訪問に切り替わった。李首相を出迎える韓国側の接遇で実務訪問の安倍晋三首相に差をつけさせるほか、韓国の経済界と交流し経済協力で合意するなどの実績を残すことが狙いだったという。

 習近平政権が発足後、中国の指導者が頻繁に訪韓したのと同様、朴大統領も就任後に3回訪中した。一方、「血で固められた友誼」といわれた中国と北朝鮮の関係は、今年10月に平壌で行われた朝鮮労働党設立70年の記念行事に、中国は序列5位の劉雲山氏を派遣しただけだ。

 中国の外交関係者によれば、中国は北朝鮮に長年の支援を行ってきたにもかかわらず、北朝鮮は中国の意向を無視して核実験やミサイル発射を繰り返し、中国が主導する6カ国協議からも勝手に背を向けて中国の逆鱗に触れた。「北朝鮮がこの問題で譲らなければ中朝の関係修復はない」と指摘する共産党幹部もいる。

 中国が韓国に接近したのは、歴史問題で日本と“共闘”する仲間だからだ。また、10月31日の中韓首脳会談で李首相が「中国は朝鮮半島の非核化を堅持する」と述べたように、習政権は核開発問題で韓国と連携すれば北朝鮮の6カ国協議への復帰を促す圧力になると判断しているとみられる。

 だが、中国の朝鮮問題専門家の間では「中韓接近で北朝鮮が態度を硬化させ、暴走する可能性も否定できない」との見方もある。

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