中国経済が失速するなど外部環境が激変し、日本にとって外需があまりあてにならない状況だ。景気や経済の好循環をつくるには内需、特に個人消費、設備投資という民間需要の拡大が重要だ。
幸い企業は内部留保がたまり、家計も多額の資産がある。これを投資や消費の形へ顕在化しなければならない。
とりわけ、企業による賃上げが消費の活性化につながる。ただ、中小企業や非正規雇用労働者、低年金受給者などに対しては、所得、消費を下支えするてこ入れの政策が必要だ。社会保障に対する若者の将来不安も取り除く必要もある。
設備投資は、老朽設備の更新だけでも生産性の向上や省力化が見込める。ロボット、自動運転など、日本の得意分野を伸ばす投資も有効だ。政府は法人実効税率の引き下げなどを通じ、一層の投資拡大を促さなければならない。
供給面では、人手不足の不安が出ている。日本の最大の構造問題は少子高齢化で、「人の戦力化」を高める必要がある。
女性や非正規雇用労働者、高齢者などで十分に働けていない人をいかに戦力化していくのか。また、親などの介護のため戦力から離れていくのをどう防ぐのか。
こうした問題には、新アベノミクスの第2、第3の矢で対処していくが、労働参加率が高まれば所得が増え、出生率の上昇にもつながる。結果的に、強い経済を目指す「第1の矢」にもはねかえるという好循環を生み出すこともできるだろう。(談)