--では、どうすればよいと考えますか
憎悪と報復の連鎖を断ち切り、中東地域の恒久的平和を実現するには、テロ組織の封じ込めを図りながらも、イスラム世界への理解を深めて、西洋世界とイスラム世界の相互理解を図ることが必要です。その際、宗教的寛容の精神、伝統的な和の精神を持つ日本こそが、その懸け橋として大きな役割を果たすべきだと考えます。
また、「イスラム国」拡大のひとつの要因としては、シリアやイラクでのスンニ派に対する弾圧が挙げられます。そこで、わが国がイスラム教の宗派間対立の調停に乗り出し、たとえば、自治権をスンニ派に対して与えるよう国際社会に提起することも考えるべきです。
--いずれにせよ、米国の力の陰りに伴い国際秩序が揺らいでいる感があります
その通りです。現在のシリア情勢の混乱をとっても、これを招いた背景には、オバマ政権による対外関与への消極姿勢も見て取れます。また、米国の威信が低下する一方で、強引な海洋進出や急速な軍拡を進める中国が台頭し、わが国はじめ周辺国を脅威にさらしています。
--今月7日、中国の習近平国家主席と台湾の馬英九総統が中台分断後初となる首脳会談を行いました
来年の台湾総統選を前に、中台の関係アピールとともに、独立志向のある民進党を牽制(けんせい)する意図に基づくものとみられます。中台接近は、中国による台湾併合につながりかねず、台湾に自由の危機をもたらしかねません。また台湾は日本のシーレーン防衛の生命線でもあります。日台関係の強化に真剣に取り組むべきだと思います。