軽減税率の導入により、その税収の減少を補う財源の確保が大きな課題になっている。自民、公明両党が合意した「酒類と外食を除く飲食料品全般」を対象品目にすると、必要になる財源は約1兆円に上る。だが、これまでに確保した財源は4割だけで、残る6000億円をいかに埋められるのかは見通せない。
与党は、医療や介護などの自己負担を抑える「総合合算制度」の見送りで生じる4000億円を充てることで合意した。残りは制度導入までの間に安定財源を確保するとしている。
財源の候補としては、増税や歳出削減、赤字国債の発行が挙がる。政府内には景気回復に伴う税収の上振れ分の活用や、外貨建て資産を管理する特別会計の剰余金を充てる案も浮上するが、恒久的措置の軽減税率の財源としてはふさわしくないとの意見は根強い。
急浮上しているのは「たばこ税増税」だ。たばこ1本当たり3円程度を上乗せし、5000億円規模の税収増を見込む。だが、1箱当たり約60円も値上げされた場合、禁煙する人が増えて計算通りに税収は伸びないことも予想される。
歳出削減策としては、国の歳出の約3割を占める社会保障費の抑制が机上にあがるが、高齢者の反発を買うとして与党には慎重意見も多い。仮に安定財源が確保できなければ、赤字国債の発行も出かねない。ただ、政府は平成32年度に基礎的財政収支の黒字化を目指しており、批判を浴びるのは必至だ。