日銀が18日発表した金融緩和の補強策は“小粒”にとどまった。このため専門家の間では、国債の年間購入量を数十兆円単位で増やす本格的な追加緩和について「もう打てなくなった」という声と、「温存している」という声がほぼ拮(きっ)抗(こう)している。
日銀幹部は「大規模な金融緩和が『打ち止め』とは思われたくない。国債購入量を増やすことは技術的に可能で、今回の措置でお茶を濁すつもりはない」とあくまで強気だ。
SMBC日興証券の牧野潤一チーフエコノミストは「春闘がポイント」とみる。賃上げが小幅にとどまれば「追加緩和もあり得る」との分析だ。シティグループ証券の高島修チーフFXストラテジストも「小粒な補強措置は、円安を加速させないという配慮。追加緩和は将来に温存した」と指摘する。
これに対し、BNPパリバ証券の河野龍太郎チーフエコノミストは「国債購入量の拡大は技術的に難しい」と疑問視。大和証券の野口麻衣子シニアエコノミストも「手段は乏しく、『追加緩和なし』のメーンシナリオを維持する」とした。(藤原章裕)