【産経前ソウル支局長判決詳報(下)】加藤前支局長の主張を次々退けた末に裁判長が放った一言は… (1/13ページ)

 韓国の朴槿恵(パク・クネ)大統領の名誉をコラムで傷つけたとして在宅起訴された産経新聞の加藤達也前ソウル支局長(49)に対する昨年12月17日の判決公判で、ソウル中央地裁の李東根(イ・ドングン)裁判長は、弁護側の主張を次々退けていった。だが、起訴事実の柱で、最後の争点でもあった誹謗(ひぼう)の目的の有無をめぐり、「報復目的に虚偽の男女関係を報じた」という検察側の立証が認められることはなかった。理由は何だったのか。(ソウル支局)

 “4勝”にもかかわらず、うなだれる検事

 判決公判は、既に開始から約1時間40分が経過したが、コラムで書かれた旅客船セウォル号沈没事故当日、朴大統領が男性と会っていたとの噂は虚偽かの論証に多くの時間が割かれた。

 判決読み上げは、加藤前支局長が噂は虚偽だと認識していたかの考察部分に移っている。

 裁判長「韓国の大法院(最高裁)は、犯罪の故意は確定的な故意のみならず、結果発生に対する認識があり、それを容認する意思である、いわゆる『未必的故意』も含まれるため、虚偽事実の摘示による名誉毀損(きそん)罪もまた、未必的故意によっても成立すると判示している」

 李裁判長は、産経新聞が別の報道をめぐり、韓国大統領府から出入り禁止を通告されていたことなど、加藤前支局長がコラムを書いた当時の事実関係を詳しく取り上げていった。

「被告人は、外信記者である。韓国国内の事件に関する記事を作成するに当たり…」