中東情勢が悪化するなかで原油価格の下落基調が続くのは、米国のシェールオイル開発や中国経済の減速などが重なって原油が供給過剰になり、下落圧力が地政学的リスクによる上昇圧力を上回っているためだ。サウジとイランの対立で石油輸出国機構(OPEC)は減産に向けた調整がさらに難しくなり、下落に拍車をかける恐れもある。
石油天然ガス・金属鉱物資源機構の野神隆之主席エコノミストは当面の原油相場について、リーマン・ショックの影響で2008年12月19日に記録した1バレル=32.40ドルを念頭に、下落が続くと予想する。今後、北半球で寒さが緩めば需給は一層軟化するため、「30ドルを下回る可能性も否定できない」と指摘。20ドル台に入れば約12年ぶりの安値水準だ。