株安と円高の流れに歯止めがかからない。年始から中国経済の先行き懸念、原油価格の下落、地政学リスクの高まりなど、悪材料が重なり、投資家心理を急速に冷え込ませたためだ。
最大の悪材料は中国経済への不安の再燃だ。4日発表の中国の製造業関連の経済指標は予想外の低調で、4日の中国株急落や世界同時株安の引き金となった。また中国人民銀行が連日、人民元取引の対ドル基準値を元安に設定したことも「中国経済の実態は想定以上に悪いのではないか」と投資家の警戒感をかき立てている。
サウジアラビアとイランの断交などで中東情勢が悪化し、6日に北朝鮮が水爆実験を発表。地政学リスクも投資家の不安を高めた。
平均株価は大発会からの4営業日で1266円下落し、「売られすぎ」との声も出ている。好材料が出てくれば、急落の反動で買い戻しが入りやすい状況だ。
相場反転の手がかりはどこにあるのか。三井住友アセットマネジメントの市川雅浩シニアストラテジストは「中国当局が、人民元と中国株の両面で何らかの政策対応を打ってくるか」が注目点との見方を示す。
ニッセイ基礎研究所の井出真吾チーフ株式ストラテジストは、再び円安ドル高基調に戻るかが鍵になると指摘。「8日発表される米国の昨年12月の雇用統計が好調であれば、米国経済はしっかりしているとの見方から3月の追加利上げが意識され、円安ドル高に振れる可能性がある」という。