日経平均株価が13日に大幅反発したのは、中国経済への懸念が薄らいだことや、年始からの円高進行に歯止めがかかったことで、投資家心理が改善したためだ。ただ、人民元相場や上海株式市場への警戒感が払拭されたわけではなく、下落が続く原油相場も株式相場には重荷となる。日本株は当面、不透明感が残る外部環境をにらみながら神経質な展開が続きそうだ。
「市場は中国当局が人民元相場を安定させるという姿勢を感じ取り、ひとまず落ち着きをみせた」。大幅反発の背景について、三井住友アセットマネジメントの市川雅浩シニアストラテジストはこう指摘する。
人民元取引の対ドル基準値は年始から大幅な元安への設定が続き、これが中国経済への不安を再燃させ、世界の市場を混乱させる大きな原因となった。だが、最近は小幅な調整にとどまっていることや、中国当局が12日に香港市場で大規模な人民元買いの為替介入を実施したとみられることが、人民元安の流れが緩和されるとの観測を高めた。
ただ、今回の大幅反発はあくまで一時的な動きとの見方が多い。みずほ証券の三浦豊シニアテクニカルアナリストは「(年始から売られていた分を)先物主導で買い戻した形で、現状では積極的に買い進む投資家は少ないのでは」と語る。
というのも、市場を不安定にさせかねない不透明要因が残っているためだ。
人民元相場や上海株式市場は、引き続き警戒が必要となる。人民元が再び売られれば、円高を引き起こして日本株の売り圧力となる。上海市場の総合指数は13日、終値で3000の大台を割り込んだ。次の節目として、昨年夏の「中国ショック」時の8月26日につけた取引時間中の安値である2850・71が意識されるとの声もあり、急落リスクはくすぶっている。
12日に節目の1バレル=30ドルを一時割り込んだ原油相場も株式相場を振り回しかねない。三井住友アセットマネジメントの市川氏は「今は原油相場の先行きが不透明で、投資家が積極的にリスクを取る姿勢に戻るには時間がかかる」とみる。(森田晶宏)