日銀と中国人民銀行(中央銀行)が緊急時に日本円と人民元を融通しあう通貨スワップ(交換)協定の再開に向けて交渉していることが13日、分かった。米利上げで元が急落する中、貿易取引などで円と元を保有する日中企業のセーフティーネットの必要性を議論しているとみられる。
有事に円と元を交換する通貨スワップは平成14年にアジア通貨危機を受けてスタートした。民主党政権の末期以降、日中関係が急速に悪化したため、25年9月に期限を迎えた後は更新されていなかった。
しかし、米連邦準備制度理事会(FRB)が昨年末に利上げしたことで、元の為替相場が乱高下した。中国市場で事業を営む邦銀や円資金を必要とする中国企業が不安を感じ始めたため、日中の中央銀行が通貨スワップの再開に向けて協議を始めた。
日本と韓国のかつての通貨スワップは米ドルを融通しあう方式だったため、両国の財務当局が締結した。これに対し、自国通貨を直接交換する通貨スワップは両国の中銀で協議して締結する。