原油先物市場で米国産標準油種(WTI)が12日、一時12年1カ月ぶりに1バレル=30ドルを割り込み、過度な原油安が世界経済の大きなリスク要因として浮上してきた。中東産油国をはじめ資源輸出に頼る新興国経済にマイナスとなるほか、石油開発への投資が滞り将来的に原油供給が不安定になる恐れもあるからだ。日本の石油元売り大手も最終赤字に転落する見通しなど一時的なガソリン安という恩恵よりも負の側面が上回りそうだ。
国際通貨基金(IMF)によると、財政が均衡する原油価格はサウジアラビアが1バレル=105ドル。最も低いクウェートでも49ドルと、現在の価格を上回る。財政赤字を穴埋めするため、中東産油国が金融資産の売却を加速させるとの観測が強まっており、世界の株式相場の重しとなっている。
原油安は中東産油国だけでなく、原油を含めた資源輸出に依存するインドネシアなどの新興国経済にも悪影響を及ぼす。新興国経済がさらに悪化すれば、輸出の減少などで日本経済にもはね返る。