15年は、内戦が続くシリアなどから欧州に押し寄せる難民への対応が世界的な課題となった。ドイツなどへの経由地であるクロアチアでも治安悪化などが懸念されたにもかかわらず、韓国人の観光熱は収まるどころか、観光客数は過去最高を大幅に更新した。
クロアチア当局はこうした状況を踏まえ、14年ごろから首都ザグレブや主な観光地などにハングルの観光地図やガイドブックを備え付けるようになった。韓国人に快適に旅を楽しんでもらおうという配慮だろう。
クロアチアと対日で“歴史戦”戦いたかった?
一方で、韓国政府のクロアチアへの思いは別の次元にあったようだ。
昨年7月、ユネスコの世界遺産委員会は「明治日本の産業革命遺産」の世界文化遺産登録を決めた。これに先立つ6月13日、クロアチアを訪問した韓国の尹炳世外相がプシッチ第1副首相兼外務・欧州問題相と会談。産業革命遺産23施設のうち7施設で、強制徴用された朝鮮人が働かされていたことを理由に登録に反対する韓国の立場への支持を要請したのである。