例えば、中国の大学入試は、初夏に行われる全国統一大学入試「高考」に1000万人近い受験者が挑む。この結果で大学がほぼ決まるだけでなく、生涯収入を大きく左右するやり直しのきかない人生の岐路だけに、不正をしてでも、いい点を採ろうとする動機が働きやすい。そこへ金銭をもらって助ける者がつけ入るため、試験の不正は後をたたない。
一昨年10月に行われた薬剤師の国家試験でも、無線送信された解答をイヤホンで受け取ったとして、受験生の約1割にあたる2440人が摘発されたことが大きく報道された。請負代金は日本円で1人3万5000円。8500万円以上の金が動いた計算になる。
こうした倫理観を欠く悪習が米国のアカデミズムに広く入り込めばどうなるのか。ひたすら恐ろしい限りだが、経営の苦しい学校やホームステイを含めた米国の幅広い教育産業が留学生らがもたらす中国マネーで潤っているのも現実である。