霞が関や市場の評価は高い。ある中央省庁の関係者は「よく勉強する政策通で実務家。関係団体ともトラブルなく政策を通せる」と話す。市場関係者も「アベノミクス理論を支える柱で、実行力もあった」(大和総研の熊谷亮丸チーフエコノミスト)としている。
14、15年の春闘に向けた政労使会議で甘利氏は経済界に働きかけ、2年連続で2%を超える賃上げを実現した。難航を極めたTPP交渉でも「米代表と怒鳴り合いをしながら」(甘利氏)、昨年10月の大筋合意へ導いている。
中国経済の失速で内需の拡大を迫られる中、16年春闘でも賃上げを促すには「甘利氏のような経済界との意思疎通能力が必要だ」(エコノミスト)との見方も少なくない。
国会ではTPPの法案審議も始まる。2月4日の協定署名後の批准手続きは、与党が衆参両院で多数を占めるため最終的に同意が得られるとみられるが、後任は「TPPの膨大な内容を勉強し直さなければならず、ちぐはぐな答弁を繰り返すと、夏の参院選などで国民理解を得られない」(農林水産省幹部)と懸念する声も上がっている。