【ビジネスアイコラム】中国の市場統制に手を貸すな 日銀総裁の発言に苦言 (1/3ページ)

2016.2.2 06:18

 日銀によるマイナス金利導入は黒田東彦総裁久々の大英断だと評価するが、腑に落ちないのは黒田総裁が同じタイミングで中国の資本規制強化を求めていることだ。日本が異次元緩和政策を再活性化して大陸からくるリスクを遮断するのは当然としても、共産党指令経済に市場統制をもっとやれと言うのは、危機を先送り、あるいは長引かせる以外何ものでもない。中国が為替や資本移動を含む金融自由化をしないのに、日銀は中国人民銀行との間で通貨スワップ再開に応じるべきではない。

 黒田総裁は先の世界経済フォーラム年次総会(ダボス会議)で、中国の資本逃避が止まらないことを憂慮し、北京当局による資本規制強化を提起した。この発言は国際金融界をリードし、国際通貨基金(IMF)も容認に傾いている。英フィナンシャルタイムズ(FT)紙は1月26日付の社説で、黒田提案を引用しながら、「中国には資本規制が唯一の選択肢」だと論じた。

 IMFもFTも、中国金融市場の自由化を条件に、人民元のIMF特別引き出し権(SDR)構成通貨への組み込みを支持した。資本規制強化はそれに逆行する。北京のほうからはそうしたくても、大っぴらにはできないし、IMFもFTも率先して言い出すのも具合が悪かった。そこで渡りに船とばかり、思いがけず飛び出した黒田節に飛びついたようだ。

資本規制強化で中国の市場危機が収まるとでも言うのだろうか

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