ただ、顕著な効果がみられない原因の一つとして、TIは「汚職の内部告発者の保護が不十分であること」を挙げる。TIは、米国では12年に汚職摘発により回復された約49億ドル(12年の平均レートで約3909億円)のうち、半分以上の33億ドルは「内部告発」がきっかけであることを例に挙げ、汚職捜査における内部告発の重要性は明らかだと指摘している。
一方で、カンボジアの反汚職法には、告発された汚職が十分に証明されない場合は告発者が罪に問われる可能性のある条項が含まれている。
TIカンボジアが国内の15歳から30歳までの若者1200人を対象に実施した調査では、約3割が「腐敗をみても告発しない」と回答した。その理由として「報復が怖い」「変化を期待できない」「告発の方法が分からない」「自分とは関係ない」を挙げた。
TIは、反汚職への意識を高め、内部告発を促すためにも、この条項の廃止を強く求めた。さらに、カンボジア政府が取り組んでいる内部告発者保護法の制定が急務だとしている。(カンボジア月刊邦字誌「プノン」編集長 木村文)