上海での主要20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議では、世界経済を成長軌道に乗せるための議論が期待されている。国際通貨基金(IMF)は1月に続き4月にも世界経済見通しを下方修正する可能性を示唆しており、各国・地域が需要創出に向けた取り組みで合意できるかが焦点となる。
「先進国の金融市場の混乱や資産価格の減少が長引けば、さらに成長を弱めかねない」
IMFは24日に公表したG20に向けた政策提言で、世界経済の先行きにこう警告した。
1月には、2016年の世界全体の成長率を3.4%、17年は3.6%とし、昨年10月時点の見通しからそれぞれ0.2ポイント引き下げた。
最大の懸念材料が中国経済だ。IMFによる中国の成長率見通しは16年が6.3%、17年は6.0%で、中国政府が目指している「6.5~7%」とは落差がある。IMFは「中国の製造業の減速、とりわけ供給過剰分野の減速が、中国の輸入を著しく引き下げた」との認識を示した。
資源安などの要因も重なって新興国・資源国はより大きな打撃を受けている。16年のロシアの成長率はマイナス1.0%、ブラジルはマイナス3.5%と、昨年10月の見通しから大幅に引き下げられた。
今回のG20について、大和総研の小林俊介エコノミストは「ドイツなど経済状況のいい国から、どれだけ財政出動を引き出せるか注目したい」としている。