【上海=河崎真澄、ワシントン=小雲規生】米格付け大手ムーディーズ・インベスターズ・サービスは1日、中国の信用格付け見通しを「安定的」から「ネガティブ(弱含み)」に引き下げた。投資適格級の格付けである「Aa3」(ダブルAマイナスに相当)は据え置いたが、格付け引き下げも視野に入れている。
政府債務の増大や、国外資本流出による外貨準備高の減少、構造改革の不透明さなどを理由に挙げた。
中国では5日開幕の全国人民代表大会(全人代=国会)で、2020年までの経済政策「第13次5カ年計画」を審議するが、ムーディーズは見通しの引き下げで、中国経済の先行き懸念をめぐる問題点を指摘。明確な対応策を全人代で打ち出すよう迫った格好だ。
政府債務は地方政府が多額の融資を受けて開発した不動産案件が、各地で大量に売れ残り「鬼城(ゴーストタウン)」と呼ばれる廃墟になっている問題が大きい。14年末時点の地方債務残高は総額で24兆元(約420兆円)に上った。地方債起債を本格的に認めるなどして政府債務削減に道筋をつけることができるかどうか、注目されている。