北朝鮮が事実上の長距離弾道ミサイルを北西部の東倉里(トンチャンリ)から発射したことで、日米の防衛体制に注目が集まっている。日米は弾道ミサイルを撃墜するため「SM-3」と「PAC-3」という2種類の迎撃ミサイルを保有している。かつて弾道弾迎撃の困難さは「けん銃の弾を、けん銃の弾で撃ち落とすようなもの」と例えられてきた。日本を守る両ミサイルの“命中率”はどれほどなのか。(岡田敏彦)
迎撃は2段構え
日本の弾道ミサイル防衛は2段構えだ。弾道ミサイルを宇宙で破壊するSM-3と、大気圏に再突入してきたところを迎え撃つPAC-3が迎撃を受け持つ。SM-3は海上自衛隊のイージス艦から発射し、PAC-3は地上から発射する。PAC-3は、SM-3が撃ち漏らした弾道ミサイルを大気圏内で迎撃する“最後の盾”といえる。
SM-3の開発には日本も参加し、その発射実験は米ミサイル防衛局により2002年1月25日から開始。15年12月9日までに40回の発射実験を行った(類似のSM-6ミサイルなど含む)。うち迎撃に成功したのは33回で、成功率は82・5%だった。
ただし、失敗のうち3回はターゲットとなる模擬弾道ミサイルが故障するなどの理由でSM-3は発射されず、迎撃の失敗というより実験準備段階での失敗だった。