国内経済が低迷する中、急速に鋼材の輸出を増やしている格好だ。
その背景をシンクタンク「大和総研」の経済調査部主席研究員、齋藤尚登氏は「中国は国内鉄鋼需要が低迷する中、ある程度の設備稼働率を維持するため、輸出ドライブをかけている」と説明する。
高まる“中国主犯説”
ただ国内経済の低迷をカバーするため加速させた輸出攻勢が、世界の鉄鋼価格の暴落を招いた。
それは中国の鋼材輸出金額をみれば明らかだ。
増える輸出量に反して輸出金額は、14年が33・0%増の708・4億米ドル、15年が11・3%減の628・3億米ドルと減少。この間、単価は26・0%も下落した。
齋藤氏は「輸出でマージン(利益)が確保できていれば良いのだが、15年の鉄鋼企業の税前利益は67・9%減と全くの不振」と輸出攻勢の成果を疑問視する。