習近平政権が初めて独自策定し5日開幕の全人代で発表した、中国の新たな中期経済政策「第13次5カ年計画(2016~20年)」は、年平均6.5%以上の安定成長を続けながら、国有企業の統廃合や人員整理など、痛みの伴う構造改革も断行するという「新常態(ニューノーマル)」入りを内外に改めて宣言した。
李克強首相は同日の開幕式に約2時間かけて読み上げた「政府活動報告」の中で、「改革」というキーワードを70回近く使った。
構造改革の過程では、石炭や鉄鋼など、過剰な生産や在庫の重圧で赤字続きにもかかわらず生き延びている「ゾンビ企業」で600万人もの失業者が出ることが予想される。失業対策など社会保障が後手に回れば抗議デモが頻発、社会不安が増大する懸念がある。
ただ、改革を先送りすれば経済失速という決定的な事態を招きかねない。中国共産党は、20年を目標年度として国内総生産(GDP)と国民平均所得の「倍増計画」を打ち出している。21年に成立100年を迎える党の威信がかかるが、公約を果たさねば習政権の「正統性」まで問われる恐れもある。