観光資源にも生かそうと5月、薬草園などを備えた施設「ハーバルビレッジ」を開く。試食会で好評だったカレーを挟んだパンなどのメニューをカフェで出す準備を進める。100種類超を栽培し講座も開き“薬草の聖地”に育てる計画だ。
町によると高く売れる薬草もあり、農家の収入増が期待される。においを嫌う動物も多く鳥獣害対策にもなる。産業振興課の田原文彦課長補佐(46)は「成功すれば、若い担い手が増える可能性がある」と意気込む。
◆山口では牛放牧
山口県では畜産農家の牛を借り、雑草を食べさせて放棄地を耕作できる状態に戻す「山口型放牧」が広がり始めた。牛は太陽光発電による電気柵で囲って放牧。手がかからず大型機械が入れない場所でも可能で、人口減で悩みの種の人手不足を補う“助っ人”だ。
山口市秋穂二島地区では、88戸が集落営農法人をつくり07年度から本格的に開始。当初約2ヘクタールだった放牧地は20ヘクタールを超え、一部は水田に変わりつつある。野島義正理事(62)は「住民は牛をかわいがり、土地の見栄えが良くなったと喜んでくれる」と手応えを語る。
農業と畜産を両立させる取り組みに、県も本腰を入れる構え。県内で利用される牛は300頭を超え、17年度に放牧地を430ヘクタールまでに広げる目標を掲げる。復活させた農地の利用方法など課題はあるが、放棄地を生産地に変える試みの行方が注目されている。