国土交通省が発表した公示地価では、北陸新幹線開業から1年を迎えた金沢市はオフィス需要の高まりなどで商業地が大幅に上昇した。一方で、北海道新幹線の開業を控えた北海道函館市は、下げ幅こそ縮小したもののプラスには転じていない。首都圏と地方を結ぶ“新幹線効果”にも、利便性による格差が生じている。(山沢義徳)
オフィス仲介大手の三幸エステートの担当者は「金沢駅周辺は空き室がほとんどない状況」と話す。北陸3県での市場開拓を目指す企業の拠点開設や施設の拡張が目立ち、賃料も上昇が続いているという。
観光客の増加により、飲食店やホテル向けの用地需要も強い。金沢市内の繁華街、片町周辺などでは商業施設のオープンが相次ぐ。金沢駅周辺や繁華街では10%を超える上昇率が目立った。同市の商業地は5・4%上昇した。
北陸新幹線の開業で東京から金沢への最短所要時間は80分以上縮まり、2時間半を切った。このため山中温泉や朝市で有名な輪島市などの観光地5地点でも初めて上昇を記録するなど、新幹線効果は石川県内に広がっている。