消費税率10%への再増税延期で、回復の足取りが鈍い個人消費の一段の落ち込みは回避される。その一方で、再増税による税収を財源に当て込んでいた子育てや介護支援など充実策は見直しを迫られる。同時に2020年度に基礎的財政収支(プライマリーバランス)を黒字化する政府目標達成にも黄信号がともり、国債の信用力が低下して格下げされるリスクも抱え込んだ。
消費税率が8%に上がった14年4月以降、国内総生産(GDP)の6割を占める個人消費は低迷を続けている。消費税増税に伴う負担増で家計が節約志向を強めたためだ。15年10~12月期の実質GDPは、個人消費の低迷が響いて前期比年率マイナス1.1%と2四半期ぶりのマイナス成長に転落。年明け以降の中国経済の減速や原油安に伴う市場の混乱が企業や家計の景況感を冷やす中、市場関係者の間では5月18日に発表される16年1~3月期のGDP速報値もマイナス成長になるとの見方が広がり始めている。GDPが2四半期連続でマイナスになると景気は後退局面に入る。