そうした中で、世帯当たり年間5万円弱の負担増につながる8%から10%への消費税率引き上げが延期されれば、低迷する個人消費のさらなる落ち込みが防げる利点があり、景気にとってはプラス材料となる。日銀は引き上げでGDPを0.7%押し下げると試算していた。
一方、増税を見送れば飲食料品などに軽減税率を導入しても年5兆円弱と見込まれた税収増を当てにできなくなり、高齢化による社会保障費の膨張が続く中で財政運営は厳しさを増す。
政府は10%への増税による税収を使い、17年度から低所得の年金受給者に月5000円を給付し、介護保険料の軽減措置も拡充する予定だった。17年度末までに整備する保育の受け皿の目標も50万人分に引き上げたが、増税を延期すれば別の財源を見つけるか、実施の先延ばしを迫られる。