カナダの富豪、マレー・エドワーズ氏。この度ロンドンに転居したことが明らかになった(ブルームバーグ)【拡大】
魅力的な税制で人々を引き付けてきたカナダ・アルバータ州から富豪が逃げ出している。同州では今年、連邦税と州税の税率が引き上げられた。
カナダの富豪で投資家のマレー・エドワーズ氏がカルガリーからロンドンに転居したことが分かった。カルガリーはカナダのエネルギー産業の拠点で、深刻な打撃を受けている同国の石油業界で、同氏は長年にわたり指導的役割を果たしてきた。
エドワーズ氏が株式の過半数を保有するカナダの航空機メーカー、マゼラン・エアロスペースの規制当局への届け出で転居が確認された。同社の年次報告書には、エドワーズ氏の居住地はロンドンと記載されている。1年前はカナダのアルバータ州だった。
ブルームバーグのデータによれば、同氏は1995年からマゼランの取締役を務め、昨年6月時点で同社の株式の74%を保有。同氏が取締役を務める別の会社が以前規制当局に届け出た文書では、居住地はアルバータ州カルガリー/バンフとなっていた。
エドワーズ氏は数十年間にわたり、投資や政策への助言を通じてカナダの石油・天然ガス産業の構築に注力してきた。税務上の目的でカナダの居住者ではないと見なされるためには、定期的に他国で居住するか、カナダでの滞在期間を年間183日未満とし居住面でカナダと密接な関係がないことを示す必要がある。
原油価格の1年9カ月にわたる下落がカナダの生産会社を圧迫しており、同国のエネルギー業界では数万人が削減されている。カナダのオイルサンドは世界で最も開発コストがかさむ原油埋蔵地の一つ。