長崎県対馬市の観音寺から2012年に盗まれ韓国に持ち込まれた同県指定有形文化財「観世音菩薩坐像」について、数百年前に日本に略奪されたものだとして元々の所有権を主張する韓国中部の浮石寺が、韓国政府に対して引き渡しを求める訴訟を大田地裁に起こしたことが20日分かった。浮石寺側の関係者が明らかにした。
仏像は中部大田の国立文化財研究所が保管している。仏像を巡っては同地裁が13年2月、浮石寺の求めに基づき、韓国政府による日本への返還を差し止める仮処分決定を出した後、本訴訟が起こされないまま3年が経過。法律上、韓国政府は今年2月下旬から仮処分の取り消しを申請できるようになり、日本側では返還に期待する声が出ていた。
提訴は19日。浮石寺は、現状では日本に返還される可能性が高いとみて訴訟に踏み切り、返還を阻止するか、少なくとも遅らせる意図があるとみられる。(共同)