もう一つ、人気が得られない要因として、新興国では現地で製品を生産してから小売店に並べるまでに要する物流のレベルが非常に低いことが挙げられる。アイスクリームを一定の温度に保ったまま届けることや、小売店でも一定の温度を維持することが、なかなかできない。そうすると、消費者の手に届くまでに温度が上がり、サクサクのはずのコーンやモナカも「ぬれせんべい」のようになってしまう。これではせっかくの技術がまったく生かされないというわけだ。
では、新興国がダメなら先進国ではどうだろう。実は先進国でもだめで、「所詮(しょせん)、コンビニのアイスでしょ」という見方をされてしまい、消費者はジャイアントコーンやチョコモナカジャンボほどの品質を求めない。おいしいアイスが欲しくなったら、高級アイスクリーム専門店の「コールド・ストーン・クリーマリー」や「ハーゲンダッツ」で500円の商品を選ぶという人が多いのだ。
一方、日本では「所詮」という考え方はない。専門店よりもコンビニでアイスクリームを買う人の方が多く、そこでどれだけおいしいアイスクリームが売られているかが重要という市場なのだ。これは世界で唯一、日本だけの市場といえるだろう。