あえて言おう、問いかけの痩せた作品は愚作である (1/3ページ)

2016.7.3 06:00

 湖上にある3キロの浮橋を歩いてきた。

 陸地をスタート地点に、湖の中にある2つの島を繋いだ浮橋である。表面は黄色の布で覆われている。浮橋は揺れる。身体も上下左右に微妙に揺れる。

 ブルガリア生まれの米国籍アーティスト、クリストの新作「フローティング・ピアーズ(浮かぶ桟橋)」である。北部イタリアにあるイゼオ湖上を舞台にしたインスタレーションだ。

 クリストは、この湖と島を行政区域とする2つの自治体から独占使用許可をとり、賃貸契約をする。22万個の浮きと10万平米の布地を用意し、それらを設置したプロジェクトである。

 会期中の約2週間(6月18日-7月3日)、およそ1000人のスタッフが運営に関わる。ボランティアは1人としていない。スポンサーもいない。しかも見学料はとらない。すべてはアーティストの自己負担である。

 そのためだろうか、かなり混雑していても会場の空気はギスギスしていない。炎天下にかかわらず、見学者の表情はおおらかだ。

 開幕から僅か3日間だけでも25万人が訪れたという。最終的に何百万人になるのだろう。アートに関心を抱いたことなどなかった人たちが、大挙して押し寄せている。

 どうして、こんなにも沢山の人が引きつけられてくるのか?

 かつて王侯貴族は自分の望む作品を芸術家に依頼していた。近代に入り、アーティストが自分の考えを表現するために作品を作るようになる。それにしたがい、公の財産である文化を皆で育てるとの名目のもと、王侯貴族の代わりに資本家や行政がアートをサポートすることが増えてきた。

 それが収益と税金の正しい使い方である、との多くの人が信じている。だから、「芸術にお金を出さない企業や行政ばかりでは、文化の先行きは暗い」との文句がでる。

揺れる場を散策するとの非日常的なリズムが思考を刺激する

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