環境省は25日、国立公園への訪日客誘致のため、受け入れ態勢を重点整備し、ブランド観光地として世界にPRするモデル事業を、阿蘇くじゅう(熊本、大分)や阿寒(北海道)など8カ所で実施することを決めた。専門ガイドの育成や宿泊施設の機能を強化。大型商業施設を整備できるよう規制緩和も検討する。
8カ所はこのほか、十和田八幡平(青森、岩手、秋田)、日光(福島、栃木、群馬)、伊勢志摩(三重)、大山隠岐(鳥取、島根、岡山)、霧島錦江湾(宮崎、鹿児島)、慶良間諸島(沖縄)。
全国に32ある国立公園のうち16カ所の地元道県から選定の要望が出ていた。世界遺産や温泉といった外国人を引きつける資源があることや、景観向上の取り組みなどを基準に8カ所を選んだ。
熊本地震の被災地にある阿蘇くじゅうは、災害復興のモデルに位置付け、重点支援する。
8カ所は日本の「ナショナルパーク」として、情報発信するため英語の統一ブランドも検討する。地元自治体などは地域協議会を設置し、自然や伝統文化を生かしたツアーの開発に取り組む。モデル事業の成功例は、他の国立公園にも広げる。
環境省は関連経費について、本年度の第2次補正予算や来年度予算への計上を目指す。
国立公園のブランド化は、2020年時点で訪日客を年間4000万人とする政府の新たな観光戦略の一環。
国立公園を訪れた外国人は15年に430万人だったが、1000万人に増やす目標だ。