伏線は、経営不振の大宇造船をめぐる不正会計の発覚だ。洪氏が会長に就いていたKDBは、同社の大株主だった。
韓国監査院は6月、2013、14年に大宇造船が計1兆5千億ウォン(1400億円)の利益を過大計上していたと発表。KDBは財務チェックを怠っていたと厳しく指摘した。
大宇造船は韓国の単一企業としては最高の5兆ウォン規模の赤字を計上。業績が悪かったのに役員に多額の報酬を支払うなど、ずさんな経営が明らかになっている。公的資金を原資にKDBなどが4兆2千億ウォン規模の支援を決めたことに批判が噴出している。
ここまでなら、あくまでゾンビ企業をめぐる監督責任問題に過ぎなかった。
それがAIIBの副総裁人事へと飛び火する事態となったため、不満がいっきに高まった。
「去就、決めよ」事実上の辞職勧告
韓国・中央日報(日本語電子版)によると、洪氏は中国・北京で6月25日に開かれた初のAIIBの年次総会の直前に「休職」届を提出。総会にも姿を現さなかったという。