【野口裕之の軍事情勢】
「『中国』の強固な態度は異常だ。強硬に新基地建設を推し進めるのは、あるべき民主主義国家の姿からほど遠い」
沖縄県の翁長雄志知事が、南シナ海で人工島=軍事基地を造成し「強硬に新基地建設を推し進める」中国に対し、ついに正面きって批判を展開したと喜んだ。翁長知事は、尖閣諸島(沖縄県石垣市)への領海侵犯を繰り返す中国を訪問し、李克強首相と面会(2015年4月)しながら尖閣には一言も触れず、訪中では毎回お静か。それだけに、日米両国政府のみならず、中国政府にも分け隔てなく抗議する当然の姿勢を、今次小欄は採り上げようと思った。中国は自らを「中国流民主主義」だと詐称することがあり、中国に気遣い「民主主義国家」と持ち上げてみせても、翁長知事に限って言えば違和感はなかった。が、小欄の早トチリだった。翁長知事発言の冒頭は『中国』ではなく、『中』が抜けた、単なる『国』であった。正しくは-。
「『国』の強固な態度は異常だ。強硬に新基地建設を推し進めるのは、あるべき民主主義国家の姿からほど遠い」
沖縄県内の米軍基地問題にまつわる、わが国政府の取り組みを相も変わらず批判したに過ぎなかった。前日の7月21日、翁長知事は首相官邸で開かれた政府・沖縄県協議会で、中国人民解放軍海軍のフリゲートが尖閣諸島周辺の接続海域に侵入する(6月9日)といった緊迫情勢を受け、地域住民の安全確保に向け万全の態勢で取り組むよう菅義偉官房長官らに要請しており、その先入観が早トチリを促したようだ。