このコラムでも何度か取り上げた北京の改革派月刊誌「炎黄春秋」が事実上、終焉(しゅうえん)を迎えた。中国現代史の真相を知りたいと思って、この雑誌を愛読してきた私にとっても、とても残念なことだ。
「炎黄春秋」をめぐる最近の動きについては日本の各紙などでも紹介されているが、要は中国において雑誌の発行に関してどの程度の自由が許されているかということである。中国の雑誌には必ずその雑誌を管轄する組織が存在する。自由な発行を許さないという制度上の規制である。
「炎黄春秋」は1991年7月の創刊以来、民間学術団体の管轄下にあったが、2年前、文化省の下部組織の管轄下に入れられた。当局による言論引き締め強化の一環だった。「炎黄春秋」側は抵抗したが、押し切られた。
「炎黄春秋」への締め付けは今年7月にエスカレートした。雑誌を管轄している組織が新しい社長や編集長らを一方的に送り込んだのである。解任された社長らは強く反発し、雑誌の停刊を発表した。
実質的に最後の「炎黄春秋」となった7月号の冒頭には、解任された社長の創刊25周年の「感想」が掲載されている。
そこには、「実事求是」(事実にもとづいて真実を求める)の立場で歴史と現実を評価する方針を維持してきたことへの自負が述べられており、「中国現代史、とりわけ中国共産党史における重大事件、重要人物の研究で、非常に多くのブレークスルーを成し遂げた」と記されている。その言葉に嘘はない。