韓国につけ込まれ…竹島を「献上」した吉田茂の誤ったシグナル (4/9ページ)

韓国による竹島実効支配に誤ったシグナルを送ってしまった吉田茂元首相
韓国による竹島実効支配に誤ったシグナルを送ってしまった吉田茂元首相【拡大】

  • 解散を表明し、記念撮影に応じる「SEALDs(シールズ)」の奥田愛基氏(前列左から2人目)ら=8月16日、東京・永田町の衆院第2議員会館(斎藤良雄撮影)
  • 解散を表明し、記者会見する「SEALDs(シールズ)」の奥田愛基(左)氏ら=8月16日、東京・永田町の衆院第2議員会館(斎藤良雄撮影

 もっとも、安全保障を切り捨てる言い訳にはならない。吉田政権下では結果的に、憲法改正をはじめとする安全保障戦略は許容限度を超え軽視された。経済復興を成し遂げ、経済発展期に入っても、吉田の亡霊はどこまでも取り憑いて離れなかった。現に、鳩山一郎政権や岸信介政権など、一部保守政権の熱意・努力にもかかわらず、国政で論じられる“安全保障政策”は国際社会とは別次元の非論理的かつ非現実的な与野党応酬に陥った。集団的自衛権の是非に代表されるが、極めて程度の低い不毛な議論を延々と続け今に至る。経済に集中した過去の政治エネルギーより巨大な政治エネルギーを国会審議で浪費する、「ツケ払い期間」とも呼ぶべき現下の政治風土を定着させてしまったのである。「歴史の必然・偶然」も少なくなく、全ての責任は吉田に被せることは酷に過ぎるが、責任の第一は吉田にあることは免れない。

 吉田ドクトリンを背景に、竹島の話に入ろう。竹島をめぐり韓国が不法な実効支配を完成するまで、吉田は戦略上、少なくとも2回の間違ったシグナルを韓国側に送った。

 竹島支配は、吉田が拒んだ「最小限の海上兵力」に起因

 GHQ(連合国軍総司令部)は大日本帝國陸海軍に仕えた高級軍人の主義・主張や軍歴・能力を徹底的に調べ上げ、占領行政や対共産主義戦略に役立つ軍人を登用した。帝國陸海軍の軍人もGHQに利用されつつ、陸海軍復活の機会ととらえ陰日向になって軍復活を働き掛けた。

実は、日本の「限定的再軍備」は、米政府内で1948年時点で…