韓国につけ込まれ…竹島を「献上」した吉田茂の誤ったシグナル (7/9ページ)

韓国による竹島実効支配に誤ったシグナルを送ってしまった吉田茂元首相
韓国による竹島実効支配に誤ったシグナルを送ってしまった吉田茂元首相【拡大】

  • 解散を表明し、記念撮影に応じる「SEALDs(シールズ)」の奥田愛基氏(前列左から2人目)ら=8月16日、東京・永田町の衆院第2議員会館(斎藤良雄撮影)
  • 解散を表明し、記者会見する「SEALDs(シールズ)」の奥田愛基(左)氏ら=8月16日、東京・永田町の衆院第2議員会館(斎藤良雄撮影

 「武力攻撃」「侵略」認定を回避した吉田首相

 もはや「事件」ではなく「事変」と呼ぶべき危機だった。そこで、巡視船が一斉射撃を受けた「事変」前後の国会における外務・防衛官僚や海上保安庁長官の答弁を多数読み通したが、ある種の共通点に気付いた。事変にもかかわらず「武力攻撃」「侵略」といった認定を、極めて強い“積極性”をもって回避していた。官僚の答弁はもちろん、吉田の意志表明だ。つまり、吉田政権が「武力攻撃」「侵略」と認定すれば、「自衛権の発動」要件と成り得る。《日米行政協定=後に日米地位協定として改正》で定められる《敵対行為の急迫した脅威が生じた場合》、米軍の日本防衛も視野に入る。

 吉田は竹島を事実上も、実態上も放棄したことになる。以来、竹島は韓国の実効支配下に置かれたままだ。

 韓国につけ込まれた「力」を除外する吉田外交

 確かに、終戦間もない当時、諸外国の対日警戒感は依然強く、実力行使は国際社会が認めない可能性もあった。従って、日本政府は国際司法裁判所への裁定を韓国に提案したが、拒否され続けている。米国も竹島は日本領との立場だったが、不介入を決め込んだ。残る手段は日韓協議しかなかったが、外交協議は「力を背景」とした圧力が欠かせない。国際社会で通じる「力」とは経済力や文化発信力の他、軍事力を指す。

 それを知っていた次の鳩山一郎政権では、鳩山首相自身も、重光葵外相も、外務官僚も「占領」「侵略」「自衛権の発動の是」を、国会で明確に答弁した。が、時既に遅し。実際、日韓基本条約で李承晩ラインは消えたが、国交正常化にもかかわらず、竹島の実効支配は解かれなかった。韓国が日本の外交「力」に軍事力が伴っていない実体を、完全に確信した証だった。条約締結に際し「竹島棚上げ密約説」がささやかれるあたりに、日本外交の「力」の配分がいかにいびつかが、にじみ出る。

しかも、韓国を増長させただけでなく…