大阪市の地区計画では、咲洲庁舎での宿泊施設営業は用途外だが、松井知事は吉村洋文市長に依頼し、今年度中に用途制限は緩和される見通し。ホテル転用が実現すれば稼働率は8割超となる見込みだが、赤字が改善されるのかは実際のところ未知数だ。
“負の遺産”脱却なるか
実際に咲洲庁舎を利用する府職員らはどう思っているのか。
咲洲庁舎は本庁舎の大手前庁舎(大阪市中央区)と直線距離で約11キロ離れている。庁舎間を往復する職員も少なくなく、電車と徒歩か、シャトルバスを利用し、片道40分前後かけて庁舎間を行き来している。
府の職員組合が昨夏、咲洲庁舎に関する職員アンケートを実施したところ、庁舎から「撤退すべき」、府民の利便性が「悪くなったと感じる」などとネガティブな回答をした人も多かったという。
ある府幹部は、咲洲庁舎の入居テナントが少なく、維持管理費が賃料収入を大幅に上回る状況が続いている状況に「このままでは本当に負の遺産になってしまう」と心配する。