世界的な水不足の解決へ 日本の水処理メーカーが中韓に価格競争で負けている現実 (4/4ページ)


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  • 福岡・新宮町の中央浄化センターの地下式MBR(大熊那夫紀氏提供)
  • 福岡地区水道企業団の海水淡水化センター=福岡市東区(同センターホームページから)

 フランスや英国では、100年前から上下水道などの事業を民営化し、水インフラビジネスが定着しています。設備の維持管理、運営などのノウハウを持つ海外の水メジャーに対抗し、日本の水処理メーカーがアジア市場に参入していくのは容易ではありません。

 「日本製品は、使ってくれればその良さがわかります。しかし、問題は最初に受け入れられるかどうかです。最初は金額で判断され、水処理設備(プラント)が高いか安いかで決まってしまい、中国や韓国企業に価格競争で負けています。なんとか使う前に、日本製品の信頼度を分かってもらう方法がないかと考えて思いついたのが、国際標準化でした」

 2013年6月、イスラエルが議長、日本と中国が共同幹事国のISO/TC282(水の再利用に関するISO専門委員会)が設立され、水処理技術全体のガイドライン作成に向けて、約40カ国が議論を進めています。

 「日本が幹事国となり、主導的な立場で、水再利用に関する国際規格の策定を行える場ができました。現状打破に向け、日本の企業が少しでも優位になる仕掛けづくりができたらと思います。日本が培ってきた技術を世界に普及させるという気概をもって、日本企業には規格の策定に直接関わってほしいと思っています」

 国際標準規格の策定の目標は2018年か19年。日本の先端技術を世界に広げ、水問題解決に寄与してほしいと思います。

 ■まつもと・まゆみ 東京大学教養学部客員准教授(環境エネルギー科学特別部門)。上智大学在学中からテレビ朝日のニュース番組に出演。NHK-BS1ワールドニュースキャスターなどを務める。環境コミュニケーション、環境とエネルギーの視点から持続可能な社会のあり方を研究する傍ら、シンポジウムのコーディネーターや講演、執筆活動などを行っている。NPO法人国際環境経済研究所(IEEI)理事。