“暴言”大統領訪中、共同声明に中国世論が反発 「大盤振る舞い」も成果乏しく (1/2ページ)

 【北京=矢板明夫】フィリピンのドゥテルテ大統領と中国の習近平国家主席の首脳会談を受け、中国外務省が21日に発表した共同声明が、中国国内で大きな波紋を広げている。中国からフィリピンへの経済支援のメニューがずらりと並んだ一方、南シナ海問題でフィリピン側から十分な“譲歩”を引き出せなかったと受け止められているためだ。インターネット上では「私たちの税金をまた大盤振る舞いした」「対外支援法を早急に制定すべきだ」といった意見が殺到している。

 共同声明には、中国がフィリピンに対し、鉄道建設などのインフラ整備やバナナの輸入再開など、貿易や投資の拡大が盛り込まれた。報じられた各項目の金額を単純に足すと、支援規模は総額2兆5000億円に上るものとなった。

 両国が対立する南シナ海問題では2国間での対話を通じた解決が合意され、フィリピンが中国に歩み寄ったと受け止められている。

 しかし、中国当局はつい最近まで、フィリピンに対し経済制裁を実施していただけに、フィリピンへの幅広い経済支援が決まったことについて中国では政策転換の早さに反発する声もあり、政府の対外支援に関する法整備を求める意見がネット上で多く寄せられた。

 習近平政権はアジア、アフリカなどの発展途上国への支援を急増させており、各地で大金をばらまく様子は、外国メディアに「サンタクロースのようだ」と揶揄(やゆ)されたこともあった。

政府の“暴走”を制限するため、中国国内で知識人を中心に…