財務省は25日、全国財務局長会議を開き、管内企業の63.2%が人手不足を感じているとのアンケート結果を報告した。中小企業や介護などの非製造業で不足感が強かった。従業員の負担増などの弊害が出ており、女性の就労を増やすなどの取り組みの必要性が改めて浮き彫りになった。
人手不足に悩む中小企業の割合は74.7%で、大企業の56.6%より高かった。中小企業からは「水産加工場は若者に不人気」(北海道の食品業)などの声が上がったという。
業種別では、製造業の47.7%に人手不足感がある一方、非製造業は75.4%。関東のある医療関係者は「介護需要が高まる中、恒常的な人手不足」と明かした。
また製造業、非製造業とも5割以上が、人手不足の弊害として従業員の負担増を訴えた。新規出店を見送った事業者もあった。
人手不足解消に向けては賃金の引き上げや退職者の再雇用、省力化に育児休職期間拡充などの取り組み事例が挙げられた。また「利益の10%をボーナスとして還元する」(東北の建設業)、「若者の採用で会員制交流サイト(SNS)などを活用」(九州の娯楽業)などといったケースも紹介された。
調査は9月上旬~10月中旬に実施し、1366社から回答を得た。
一方、今回の会議で財務省は、8月から10月の全国の景気について「緩やかに回復している」と分析、8月に開いた前回会議での判断を据え置いた。先行きについては「労働力不足などによる供給制約に留意する必要がある」(東海財務局)といった懸念を示す声が上がった。