日銀の「異次元の金融緩和」は名実ともに持久戦に持ち込まれた。金利を重視する新しい政策の枠組みを決めたのに続き、1日の金融政策決定会合で、2%の物価上昇目標の達成時期を「2018年度ごろ」に先送りしたためだ。指揮官である黒田東彦総裁の任期中での2%達成は極めて難しくなった。
「わが国の経済成長率と物価の先行きがどうなるかということと、私自身の任期の間に特別な関係はない」
1日の記者会見で、任期内での目標達成を断念する責任を問われた黒田総裁はこう言い切った。その上で「原油価格の動向も予測が難しいし、新興国の減速と金融市場の大きな変動も予測しがたいことだった」などと釈明した。電撃的な円安株高を演出し、「黒田バズーカ」ともてはやされたころとは打って変わった印象だ。
黒田総裁の任期は18年4月までで、残り時間はあと1年5カ月。2%の達成時期を後ずれさせるのはこれで5度目だが、1年も先送りするのは今回が初めてだ。それでも、市場はおおむね好意的に受け止めている。