ペルーで開かれているアジア太平洋経済協力会議(APEC)閣僚会議は18日(日本時間19日)、保護主義に対抗し、開かれた経済を実現すると明記した閣僚声明を採択し閉幕する。環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)脱退を公言するトランプ次期米大統領を念頭に、自由貿易に対する懐疑的な見方が広がっていることに警戒感を表明する。
会議には岸田文雄外相と世耕弘成経済産業相が出席した。声明は「貿易や開かれた市場の恩恵がより効果的に幅広く伝えられることが必要だ」と強調。貿易自由化を進めることで富の偏在を是正し、格差を解消するよう各国・地域に要請する方針だ。
会議では、多角的貿易体制の強化に向けた約束も再確認。TPPに加え、日中韓と東南アジア諸国連合(ASEAN)などの16カ国で構成する東アジア地域包括的経済連携(RCEP)を土台とし、アジア太平洋自由貿易圏(FTAAP)を実現するため、作業計画の策定を進めることで合意した。
環境に配慮した製品の関税撤廃を目指す環境物品協定(EGA)をめぐっては、年末までの妥結に向けて努力すると強調。中小企業などが電子商取引で潤う可能性があるデジタル貿易に関しても進展を目指して意見交換を続ける。
世耕氏は会議初日に当たる17日の記者会見で、英国の欧州連合(EU)離脱や米大統領選でのトランプ氏の勝利といった保護主義の高まりに「閣僚らに危機感の共有があった」と指摘した。(リマ 共同)