【専欄】積極改革派の楼財政相が退任 拓殖大学名誉教授・藤村幸義 (1/2ページ)

2016.11.22 05:00

 中国の財政改革に積極的に取り組んで評価の高かった楼継偉財政相の退任が今月上旬、突然決まった。楼氏が手掛けた諸改革はまだ道半ばだっただけに、これまで中国政府が看板に掲げてきた改革路線の後退か、などの臆測が飛んでいる。

 楼氏は1950年12月の生まれなので、来月で66歳である。中国の閣僚は65歳が定年という決まりからいえば、確かに定年を迎えている。そもそも就任したときがすでに62歳だった。60歳を超えてはいたが、それでも楼氏の力を必要として任用したはずである。それなのに、わずか3年での交代となった。

 それでも短期間に画期的な改革を矢継ぎ早に打ち出した。まず地方の債務過剰問題を解決するために、債務借り換えのための地方債発行を大胆に認めた。また「営改増」(従来の営業税を撤廃し、増値税に一本化する税制改革)にも着手した。このほか、不要な諸手当の削減なども、功績の一つといえよう。

 楼氏といえば、歯に衣を着せない発言で幾度となく論議を巻き起こしてきた。その一つが昨年4月の清華大学設立104周年の記念講演で、中国社会が直面している諸課題を見事に浮き上がらせた。中でも楼氏が強調したのは、発展途上国が経済成長の過程で直面する大きな壁である「中所得国の罠(わな)」に陥る危険性である。中国がこの罠に陥る可能性は五分五分だとまで言い切った。それを防ぐためには、労働市場の柔軟化、知的財産権の保護、土地の流動性確保などが必要だと論じた。

産経デジタルサービス

IGN JAPAN

世界最大級のビデオゲームメディア「IGN」の日本版がついに登場!もっとゲームを楽しめる情報をお届けします。

産経オンライン英会話

90%以上の受講生が継続。ISO認証取得で安心品質のマンツーマン英会話が毎日受講できて月5980円!《体験2回無料》

サイクリスト

ツール・ド・フランスから自転車通勤、ロードバイク試乗記まで、サイクリングのあらゆる楽しみを届けます。

ソナエ

「ソナエ 安心のお墓探し」では、厳選されたお墓情報を紹介! 相続、葬儀、介護などのニュースもお届けします。