【論風】必要なのか、大型経済対策! バラマキ政策の余裕ないはず (1/3ページ)

 □一橋大学名誉教授・石弘光

 28兆円規模の大型経済対策を盛り込んだ2016年度第2次補正予算案が先月、臨時国会で成立した。しかしながら、今、このような大規模な経済対策が本当に必要なのであろうか。その狙い、必要性、効果などを見るにつけ疑問が高まる。「アベノミクスの再加速化」をうたったこの経済対策は6月に決定された消費税の再増税延期の延長上にあり、日本と世界経済の落ち込みの中で、日本が財政によるテコ入れをする必要があると安倍晋三首相は、自分勝手に解釈しているようだ。

 ◆日本の役割ではない

 第1に、なぜ今、このような大規模な経済対策を打ち出さざるを得ないのか、その狙いがよく分からない。おそらく5月に開催された主要国首脳会議(伊勢志摩サミット)で、安倍首相が世界経済の下振れを防ぐことが日本の責任だと強調したことと関連していよう。さらに英国の国民投票でEU(欧州連合)からの離脱が決まり、それに備えるという名目も加わってきた。

 補正予算の中身を見るとその財源に建設国債や財投債が組み込まれ、財政健全化は一層遠のくだけである。世界最悪の財政赤字を抱える日本が、そんな役割を率先して引き受けるのは場違いというべきだろう。そもそも10年のカナダでのG7サミットで、財政赤字削減が参加国共通のテーマになったとき、あまりにひどい財政事情にある日本のみ例外を認めてもらったほどである。身のほどを知れと言いたい。