「エコカー減税」厳格化で攻防 財務省など「5割」、経産省など「8割超」


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 2017年度税制改正で、エコカー減税の対象を厳格化する政府方針をめぐり、関係省庁や業界団体を巻き込んだ対立が勃発し、調整が難航している。低燃費車の税負担を軽くする同制度は、現行で新車の約9割が対象だ。税収確保を目指す財務省と総務省は、その対象を5割程度に絞り込みたい考え。一方、新車販売への影響を懸念する経済産業省と自動車業界は8割超を求め、綱引きが続いている。

 エコカー減税は、一定の燃費基準を満たす低燃費自動車の自動車取得税(地方税)や、車検時の自動車重量税(国税)を割り引く制度で、リーマン・ショック後の2009年度に導入された。制度期限を延長する度、燃費技術の向上に合わせて基準を引き上げ、対象車を絞り込んできた。現在のエコカー制度は来年春で期限が切れるため、政府・与党は期限を2年以上延期する一方、対象車を絞り込み、より燃費性能の高い車の普及を促す方針を示している。

 だが、対象の絞り込みについては、自民党内や省庁間で主張が割れている。自動車取得税を所管する総務省は、「減税対象が多すぎると環境性の高い車の普及を促せない」と強調し、20年度の燃費基準値を10%以上達成した車だけを減税対象にすべきだと要求している。税収減に悩む財務省や自治体も、基準引き上げに同調する。

 販売減を抑えたい経産省や自動車業界は、20年度燃費基準を一定程度超える車も引き続き減税対象とした上で、一部の減税幅の拡大を主張する。

 制度の延長時は対象車種の割合が7割前後となる基準が設定されており、今回も7割程度の絞り込みで攻防が繰り広げられる見通しだ。