衰退深刻な農業、改革待ったなし 小泉進次郎氏「TPPどうなろうと危機的状況変わりない」

 環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)発効を見越し、安倍晋三政権が急いできたのが農業の競争力強化だ。トランプ次期米大統領の脱退表明で発効は厳しくなったが、衰退が深刻な日本の農業は、TPPの有無にかかわらず、改革を進める必要がある。

 農林水産省の統計によると、2015年の農業就業人口は209万7000人で20年前(413万9800人)から半減。平均年齢は59.1歳から66.4歳へと高齢化が進んだ。農業で得られる所得は14年が2兆8319億円と、1995年の4兆6255億円から2兆円近く落ち込んでいる。

 TPP発効で懸念されてきたのは、関税撤廃で安い海外の農産物が国内市場に流入し、日本の農産物が価格競争に負けることだ。

 ただ、「(農業は)TPPの行方がどうなろうと危機的な状況に変わりない」(自民党の小泉進次郎農林部会長)。政府・与党は、体質強化に向け、改革を続ける考えを示している。問題は自民党農林族やJA(農業協同組合)グループの抵抗をどこまで抑えられるかだ。

 政府の規制改革推進会議は11月、流通体制を改めて農家のコスト負担を下げるため、期限を切って全国農業協同組合連合会(JA全農)の組織を刷新する改革案を示した。だが農林族などはこれに反発、最終案は自主改革を基本とする内容に後退した。JA全農は来年3月、改革の方向性や具体策を示すとしているが、どこまで競争力強化に結びつくかは見通せない。