日銀が14日発表した12月の企業短期経済観測調査(短観)は、大企業製造業の景況感を示す業況判断指数(DI)がプラス10で、前回9月調査から4ポイント上昇した。改善は1年半ぶり。11月の米大統領選後の円安株高の進行で、自動車や電気機械など輸出企業の企業心理が改善。原油など国際商品市況の回復基調も寄与した。
DIは景況感が「良い」と答えた企業の割合から「悪い」と答えた割合を差し引いた値。
大企業非製造業は通信や電気・ガスなどは改善したが、個人消費の根強い節約志向が続いている小売りが悪化するなどしたため前回調査から横ばいのプラス18。中小企業の全産業は2ポイント上昇のプラス2だった。
3カ月後を示す先行きはトランプ次期米大統領の具体的な政策に不透明感があることから、大企業、中小企業ともに軒並み悪化し、慎重な姿勢が目立った。
大企業製造業が平成28年度に想定する為替レートは1ドル=104円90銭と前回9月調査から3円程度円高に修正された。足元の円相場は1ドル=115円台で推移しており、円安が定着すれば輸出産業を中心に収益改善が進む可能性もある。