麻薬戦争の死者6000人突破 ドゥテルテ比大統領「俺も殺した」

 【シンガポール=吉村英輝】フィリピンのドゥテルテ大統領が進める「麻薬撲滅戦争」の死者数が6000人を超えた。ドゥテルテ氏も過去に“超法規的殺人”に「手を下していた」と述べるなど、撲滅のためには手段を選ばない姿勢を強めている。

 現地メディアのラップラーが伝えた国家警察の統計によると、大統領就任直後の7月1日から12月14日までの死者は6095人。このうち警察が容疑者として射殺などをした死者は2102人。「自警団」などが密売人や中毒者だとして殺害した死者は3993人だが、その約9割は「原因不明」で便乗殺人も多いとされる。取締中に殉職した警察官は19人、兵士は3人。

 ドゥテルテ氏は12日、企業経営者らへの演説で、約6000人の殺害の3分の1に警察が関与したことに言及。治安改善で実績を示した南部ダバオ市長時代、大型二輪車で町を巡回しては「自分で直接手を下していた」と発言。警察官に「俺がやっているのに、なぜお前らはやらないんだと見せつけた」と誇示した。

 一部野党議員はこの発言を「弾劾に相当する」と問題視するが、議会を掌握するドゥテルテ氏は「逮捕でも暗殺でもできるならやってみろ」と強気だ。