AI普及の自動化で数百万人が失職も 米政府報告、トランプ政権の課題に

 オバマ米政権は20日、人工知能(AI)の普及で業務の自動化が進み、低賃金労働者を中心に米国の数百万人が現在の職を失う恐れがあるとする報告書を発表した。AIが経済に与える影響への対処は「次期政権の重大な政策課題」とし、トランプ次期大統領に対策に力を入れるよう求めた。

 報告書は、AIに取って代わられる仕事が9%とする経済協力開発機構(OECD)の分析に言及。さらに多い47%の仕事を、今後20年以内にAIが代替する恐れがあるとした別の研究者の推計も紹介した。

 こうした結果、職を失い生計が苦しくなる米国民が中期的に数百万人に上る可能性があると指摘。賃金が低い仕事に就いている人ほど職を失うリスクが高いとした。

 一方、AIが普及すれば新たな雇用が生まれるので、失業率はほとんど変わらないと分析した。大統領経済諮問委員会のファーマン委員長は20日の電話会見で「AIは労働生産性の向上に大きく貢献する」と述べ、生産性が上がることで労働者の賃金も上昇するとの見通しを示した。(共同)